エッセイ | 食のこころ

 

商戦の新時代 2016年・春

相談役 石戸孝行

柏のそごうさんが9月末を持って撤退するという記事を読んだ。

私たちは撤退するんだなあと理解するが、一般の人は「つぶれる」と言ったりする。

そういう話を聞くと、私はそごうさんはつぶれるのではなく、柏では利益が出ないから止めるだけの話である、とそごうさんの名誉のために答えている。

なぜ利益が出ないのかは経営者にとっては永遠のテーマである。

弊社も長年そごうさんにお世話になっていたので寂しさはぬぐいきれない。

そんな例はいくつもある。

競合で戦っているお店が撤退するのを見て、勝った勝ったと喜ぶことは私にはできない。

競争相手が減って寂しいという気持ちの方が大きい。

柏もここにきて、一つの節目を迎えたことは事実だ。

ヨーカ堂さんが出店して来る、高島屋さんが出店してくると戦々恐々とした。

戦いながら足腰が鍛えられた。

弊社もそごうさんにお世話になり、民事再生という経験をさせてもらった。

お客様は、石戸孝行や京北スーパーを繁栄させたくて買い物に来ているわけではない。

商品の質、味、文化、感動を求めていると思います。

「美味しかった、有難う」という言葉にやってて良かったという、お客様に役に立ったという気持ちと感謝がわく。

柏駅を中心に何百とある食料品店の中から一生に一回しかない今日という日の夕食に京北スーパーの商品を使って団らんする、安易な気持ちで商品を並べるわけにはいかない。

何回も書いているが、痛むものを扱うから緊張がわく、秒単位で品質が落ちる、秒単位で菌が増える。

だからお客様から「美味しかった、有難う」の言葉を頂くとうれしい。

そごうさんの会合に出たことが有ったが、閉会時に必ず「同期の桜」を歌った(歌わされた)。

なんか仲間意識に違和感を感じたのは私だけじゃあなかったと思う。