エッセイ | 食のこころ

 

TVのバカさ加減 2017年・冬

相談役 石戸孝行

 今でもテレビで、「早食い競争」や「大食い競争」などの番組を放映している局がある。

 テレビには映っていないが、食の間に食べたものを吐き出してはまた、口に放りこんでいるという。

そこまでして放映する必要があるかと疑問に思う。

 昔、おせちの番組があり、私どもも出品したが、同時に某社のおせちも出品された。

某社のおせちは、おせちよりもそこで使ったお重に価値があったようで、放映が終了したとたんに、某社の料理はごみ箱に捨てられた。

あとで聞いてみると、テレビ映りがいいように料理の上から油を散布して見栄えをよくしていたとのことだった。

放映終了後、テレビ局のスタッフさんには当然のことながら私たちが出品したおせちを美味しそうに食べていただいた。

テレビの視聴者はそんなことを知る由もない。

こんな記事を書いたのは、今でもそのようなことが無いか心配しての事だからだ。

これも昔の事ですが、サンマを大量に仕入れて、売れるか心配していたが、結局売り切れたという番組があった。

事実は売れ残ったが、局の設定は「売り切れた」だったのでそのように編集された。

だましたのはテレビ局で、だまされたのは視聴者だ。

テレビの放映次第で、店の格が上がったり下がったりする怖い仕組みだ。

「大食い競争」などは世界に食べ物が無くて困っている人たちがたくさん居るのに、見ている方がテレビのスイッチを切りたくなる。

もっと食べ物を大切にしてもらいたい。

映像の表現で誇張したり、音楽でその気にさせたり、だましの方法は多彩だ。

 本来、食べ物は地道で、保守的なものだと思う。

食べ物を大切にしないと、いつかしっぺ返しが来ることは間違いない。

食べ物の前で手を合わせて頂きますと言おうではありませんか。

大切な「いのち」を頂くわけですから。

どんな食べ物も一生に一回だけ、この世に生まれてきたかけがえのない「いのち」だから。