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エッセイ“食のこころ”

話題の熟成牛について思うこと

代表取締役会長 石戸義行

「熟成牛」という言葉をよく耳にする機会が多くなりました。

熟成と発酵はよく似た捉え方をされますが、「発酵」は外からの微生物の酵素で分解することで、「熟成」は肉を『寝かせる』ことであり、肉が持っている酵素によってたんぱく質が分解され、アミノ酸へと変化することです。

熟成牛がブームになっている今、私が心配するのは、熟成牛という言葉の定義がハッキリしておらず、ドライエイジング(乾燥熟成)とウエットエイジング(真空パックのままの熟成)が混同されている点です。

例えば、牛肉を3日間冷蔵庫に放置し、それを熟成と言ってしまえば熟成牛になってしまうわけです。

本来なら、熟成牛とは、ドライエイジング先進国から学んだ知識と技術で熟成されたドライエイジングビーフのことなのですが、熟成牛という言葉だけが先行し、ついには大企業までもが便乗してしまっているのが現状です。

某ファミリーレストラン等でも熟成牛のステーキを提供していますが、これらを熟成牛と呼ぶなら、まさに世界中で流通している牛肉は全て熟成牛になってしまいます。

この点に規制やルールが出来ないのが不思議です。

売上のためにハッキリさせたくない一部の企業と政治の結託だと勘ぐる意見もあります。

我々は、新しい情報に飛びつき、他よりも先に、と思いがちですが、背景を確認した上で判断していかなければなりません。

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