KEIHOKUプライベートブランド
お茶の産地で有名なのは静岡県で、栽培面積、荒茶の生産量とも、全国の約40%を占め、全国1位となっています。
それに比べ岐阜県のお茶は、全国の生産量の約1%となっていて、たいへん希少なものとなっています。
岐阜県瑞浪市で有機栽培でお茶を育てている生産者の成瀬さんは、もともと自営業である養豚場で働いていましたが、お茶造りを始めたいと考えたことから、今から約33年前に茶畑を増設し、苗つくりからはじめ、植え付けをし、お茶造りを始めたそうですが、苗つくりには約2年、植え付けには約5年、お茶造りを始めるのに約7年もかかったそうです。
成瀬さんの茶畑は標高400mの山間にあり、静岡県の平均が標高200mに対し、200mも高い場所になります。
標高が高いことから、朝晩の気温の寒暖差があり、また、茶畑には朝霧がたち、そして、他の茶畑からの農薬や、お茶の病気などがうつることもなく、お茶造りに恵まれた自然環境となっています。
KEIHOKUプライベートブランド 有機栽培茶
成瀬さんはもともと無農薬でお茶の栽培を始めましたが、10年前に有機JASの認定を受け、「有機栽培茶」となりました。
無農薬から有機JASに切り替えるのは非常に困難だったようで、JASからの指導もない中、手探りで有機JASの認定を受ける方法を見つけていったそうです。
また、成瀬さんの茶畑は土壌の消毒もしていません。
万一、虫が出てしまっても、テントウムシやカマキリといった虫が、バランス良くいるため、お茶の成長に害を与えることはないようです。
雑草が出てきてしまった場合には、成瀬さんのご家族だけで2.5haの茶園面積を、一つ一つ手作業で雑草を取り除いています。
成瀬さんの茶畑は、標高が高いことから、新茶の時期も少し遅めで5月中旬になります。
一番摘みは、お茶の新芽が5枚出ているところの上から3枚を摘みます。
この一番摘みでKEIHOKUプライベートブランド有機一番摘み煎茶は造られています。
摘みとられたお茶の葉は、成瀬さんの茶畑のすぐ隣で、荒茶に加工されます。
摘み取った茶葉を直結で荒茶加工ができますので、茶葉も傷みません。
荒茶の製造工程としては、まず、摘み取られた茶葉を蒸し機に入れて蒸気で加熱します。
この工程を「蒸熱」といい、蒸しの強弱によりお茶の風味が決まります。
次に茶葉に風をあて、表面の水分を取り除き、冷やしていきます。
その後、粗揉機に入れ、茶葉に熱風をあてながら乾かしていきます。
この工程を「粗揉」といいます。
その後、揉念機にかけローラーで茶葉に力を加えて水分を均一にしながら揉んでいきます。
さらに、中揉機に入れ茶葉に熱風をあて、揉みながら水分を取り除いていきます。
この工程を「中揉」といいます。
その後、精揉機にかけ、茶葉に熱と力を加え、水分をとりながら、茶葉が針のようにまっすぐに伸びた形になるように整えていきます。
さらに乾燥機にかけ、茶葉を十分に乾かし、しっかりと乾燥したものを「荒茶」といいます。
「荒茶」になった茶葉は岐阜県加茂郡白川町にある、ますぶち園様で「製茶」へと加工していきます。
製茶の製造工程としては、荒茶の中には茎の部分や粉が混ざっているので、形を整えていくのですが、最初は網に荒茶をのせ、回してふるいにかけ、粉を落としていきます。
そして、水分を多く含む棒の部分を静電気によりくっつけて取り除いていきます。
さらに網でふるいにかけ、長くて細い部分を残し、太い部分を切断し形をそろえていきます。
そして、色選別により、緑色が薄い茎の部分を取り除き、緑色が濃いものだけを残していきます。
そして、マイクロ波により加熱乾燥をし、遠赤外線により茶葉の中までしっかりと加熱し、お茶の旨み、香りを引き出していきます。
取材のとき、成瀬さんの茶葉で出来た煎茶を、成瀬さんの茶畑の中でいただきました。
お茶の色はきれいな緑色をしていて、香りが良く、ほのかな甘みが感じられました。
また、農薬を使っていないので、お茶の葉もそのまま食べてもらいたいということから、荒茶をすり鉢に入れ、1分間すったあと、お湯を入れていただきました。
お茶の成分、ビタミンEやカテキン、テアニンなどをまるごと味わうことができ、和菓子との相性も抜群でした。
栽培量に限りがある成瀬さんの有機栽培茶を、ぜひご賞味ください。
有機栽培農家の成瀬さんにお話を伺いました
お世話になったますぶち園の鈴村社長
成瀬さんの茶畑は、お茶の栽培に適している標高400mの山間にあります
茶摘み体験をする取材班
乗用茶摘み機に試乗して茶摘みをするバイヤー
お茶の新芽の上から3枚を摘みます
有機JAS認定を受けている成瀬さんのお茶
製茶工程を見学するバイヤー
様々な種類のお茶の飲み比べ。香りと味の違いを実感しました
生産者の皆さんと取材班
摘みとった茶葉は、茶畑に隣接した作業場で荒茶に加工されます
蒸し機に入れて加熱する蒸熱工程。蒸しの強弱でお茶の風味が決まります
揉念工程では、ローラーの圧力で茶葉の水分を均一にしながら揉んでいきます
乾燥機で十分に乾かし、しっかりと乾燥したものを「荒茶」と呼びます
製茶前の「荒茶」。まだ茎や粉が混ざっています
仕上がった「煎茶」。「荒茶」と比べると違いがよくわかります