冬の果物
岩手県奥州市江刺区は、岩手県の南部に位置し、昼と夜の気温の差が大きく、石灰とリン酸分の多い土壌ということから、りんご栽培に適した地域となっています。
江刺りんごの栽培地区は、昭和48年に国の事業で行われた「全国わい化モデル園設置事業」に、小倉沢りんご生産組合が全国で5ヶ所のうちの1ヶ所に推薦されたことにより本格化をしたそうです。
このように、全国で5ヶ所のうちの1ヶ所に選ばれるには、当時りんご作りをしていた13名の生産者が、りんご作りに情熱を持ち、おいしいりんご作りを江刺に広げようとした取り組みが評価され推薦されたそうです。
「全国わい化モデル園設置事業」の「わい化(栽培)」とは、木があまり大きくならない特性を持った、「わい性台木」に接木をし、りんごを栽培する方法で、この方法だと木の高さが高くならず低いので、作業が楽になり、また、りんご1つ1つに太陽の光があたり、美味しいりんごができるそうです。
江刺では、長野県や青森県といったりんごの有名な産地に比べ日照時間が少ないこともあり、枝で育てるりんごの数を少なくすることにより、限られた日照時間で光合成をした養分が、1つ1つのりんごに十分に与えられるようにしています。
そして葉摘作業は、りんごは葉が光合成した養分を摂るために、りんごの実にくっついている葉のみを取り除きます。
他の産地では、りんごの色をより赤く少しでも着色を良くしようと、太陽の光りをたくさん実にあてるために葉をほとんど取り除いてしまう場合もあるそうですが、江刺りんごは、りんごの実に与える養分を考え、ほとんど葉を取り除きません。
また、りんごの実を赤くするために、りんごの実を少しずつ回転させ太陽の光りを当て着色をする玉まわしという作業は、他の産地では収穫前に2~3回この作業を行うそうですが、江刺りんごは、1回でも多く少しでもりんごの着色を良くするためにと、収穫前に3~4回行っているそうです。
この作業では、どの程度りんごに色が付いてからまわすかといったタイミングが難しいそうで、タイミング次第では出荷した時の等級が下がってしまうほど、りんごの品質に影響が出てしまいます。
このようなこだわりから育った江刺りんごは、糖度が高く、甘さと酸味のバランスが良く、シャキシャキとした食感でみずみずしく、美味しいりんごです。
生産者の後藤さんとわい化栽培で背が低く育つりんごの木
りんごの出来映えを確認するバイヤー
果実を赤くする「玉まわし」の説明を聞く取材班
この部分が「飴色」になったら完熟の目安です
生産者の方々と取材班
※スキレット(フライパン)でなく、ケーキ型に入れて180°のオーブンで40~45分焼いてもできます。